ナイキが開発した厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズが世界陸連によって規制されそうです。革新的な技術によって近年のマラソン世界大会での高記録頻発に一役買っていた厚底シューズは本当に悪なのでしょうか。
現役選手、元選手らの意見や厚底シューズの構造等紹介します。
ナイキ社「厚底シューズ」 世界陸連が大会での使用規制か #nhk_news https://t.co/3K8fk49zTk
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年1月16日
厚底シューズ使用選手の躍進ですが、女子ではケニアのコスゲイ選手が16年ぶりにポーララドクリフの世界記録を更新、男子でも同じくケニアのキプチョゲ選手が非公式ではありますが、史上初のフルマラソンで1時間台という驚異的なタイムを記録しています。
日本では大迫傑選手が、日本記録で1億円をゲットしたレースで履いています。箱根駅伝でも多くの選手が着用し、かなりの記録が生まれていました。
まだ規制されると決定したわけではありませんが、規制濃厚ということで選手らまで巻き込んで論争になっている状況です。
厚底シューズヴェイパーフライの何が駄目なのか
国際陸連の以下規則に接触するとのことです。
「競技に使用されるシューズはすべてのランナーが合理的に利用可能でなければならず、不公平なサポートや利点を提供するものであってはいけない」
とはいえカーボンプレートを3枚重ねで空気バネを挟み込む構造のアルファフライは明らかにヤリ過ぎな気がします。見た目からしてもう…(笑)。国際陸連もこれ見て焦ったんじゃ?せめてカーボン1枚のNEXT%でやめておけばよかったのではないかなと。 #ナイキ #厚底シューズ #ヴェイパーフライ pic.twitter.com/Mz1mzgEOmz
— みやすのんき@RUN垢 (@MiyasuNonki) 2020年1月16日
シューズにはカーボンプレートが使用されており、そのカーボンの反発力(ナイキに言わせれば反発力ではなく推進力)、ミッドソールに使用されている特殊素材のズームX(航空宇宙産業でも使われているそうです)、これらの技術が行き過ぎているとの判断でしょうか。
説得力のある世界陸連の主張ですが、この厚底シューズの「ヴェイパーフライ」以外にもテクノロジーを駆使したマラソン用の靴は存在しています。
スパイラのバネシューズはOK
スパイラ社の靴は底にスプリングが入っているとのことですが、ジョン・キャロ・キュイ選手は、チューリッヒマラソンでこの靴を履き2時間11分の好タイムで優勝するなど、こちらは認められています。
こうなると我々素人には理解の難しい話になってきてしまいます。具体的な反発係数などのデータを伴った根拠を世界陸連には求めたいです。
国際陸上連盟のスポンサーはアシックス
▶︎国際陸連のスポンサーはasics
▶︎2018箱根駅伝のシューズ占有率がasicsを抜いて1位に
▶︎asicsは日本企業
▶︎2020箱根駅伝はほとんどの大学がNIKE着用で記録連発
▶︎青学はadidas契約にも関わらずNIKE着用これだけの背景と異次元の性能は規制対象になるのも仕方ないか。 pic.twitter.com/Vi1L4YZpnG
— なぎひな@スポビズ&副業 (@NagiHina_SPOBIZ) 2020年1月16日
(国際陸連公式HP⇒ https://www.worldathletics.org/about-iaaf/partners )
公平性や合理性を欠くというのは建前で、ナイキの一人勝ち状態が目に余っての、ていのいいクレームというのが真実なのかもしれません。
現役選手、元選手の声
大迫傑選手などが声を上げています。
ヴェイパーどうのこうの記事に疲れている人多いはず🙋
どっちでも良いからさっさと決めてくれーい!
僕ら選手はあるものを最大限生かして走るだけ!それだけ!🏃♂️ https://t.co/NyLrlvqiuE— suguru osako (@sugurusako) 2020年1月15日
どっちでもいいから早く決めてくれとのことです。もう少し規制が早かったら1億円は危なかったかもしれません。
ヴェイパーフライ禁止にするならスパイクやオールウェザートラックがOKになる誰もが納得する理由もあわせて発表してほしい
— 佐藤 大樹 (@hirahiraG) 2020年1月15日
元選手の佐藤大樹さんは、ヴェイパーフライが禁止なら他にも規制すべきシューズはあるのではとの見解。
厚底シューズで好記録を出したキプチョゲも
「これらの靴は公平だ。テクノロジーは進化しており、それを否定することはできない」
と規制に反対の立場です。
ヴェイパー禁止されたから、
キプチョゲ選手とか、
大迫傑選手とか、
箱根ランナーとか、
ヴェイパーで記録録った人が、陸上を知らない人や
ヴェイパー反対勢とかに、
悪いように言われるだろな。下ばっかり見て人の努力とか大切事を
見えてないだろな。本当に嫌だなそんなん#ヴェイパーフライ
— 自衛官ランナー太田 (@otayuya1108) 2020年1月16日
痛いところをついてくる方もいました。
あとは室井佑月さんなどが貧乏だったら使えない、不公平と言っていましたが、そもそもオリンピックなど国際大会は経済力や国力も含めての勝負なので、その類の意見についてはおかしいと思います。
アディダス社員は偽物のような…
この件でアディダス社員(今のところ自称)もツイッターで怒っていました。
アディダス社員です。
打倒ナイキで日々奮闘中ですが、
これには到底納得できません。
とてもラッキーとは思えません。
「メーカー側はスポーツの発展に貢献しすぎるな!ほどほどのシューズ作っとけ!」
ということですか?
やる気無くします。#ヴェイパーフライ https://t.co/pvh28tk1Jt
— adiadiadi (@adisports2) 2020年1月16日
何の証拠もないので偽物の可能性が高そうです。そのうち削除されるかもしれません。恐らく他の会社は規制には賛成のスタンスだと思います。
スピード社のレーザーレーサー
10年前の北京五輪で話題になったスピード社のレーザーレーサーが思い起されます。
レーザーレーザーを思い起こす展開ですね。東京オリンピック前に禁止するのは時間的にタイトで、北京の時のようにオリンピック以降に制約をかけるという結論になりそう。
— Amano Yuho (@Amano4126) 2020年1月16日
北京五輪後ほどなくして着用禁止となっています。ミズノとスポンサー契約しながら、本番でレーザーレーサーの水着を着用した松田丈志さんなどは、この件の影響からかその後スポンサー探しにかなり苦労されていました。
(この件はスピード社を選んだ選手も、干した企業もどちらも責められないです)
今回も恐らくは東京五輪では着用オッケーだと思います。何を選択すれば自分が最も得をするのか、選手はそろばんをはじく必要がありそうです。
NBAでも着用禁止の靴
競泳や陸上だけではありません。NBAでも禁止靴はあります。
NIKE ヴェイパーフライが禁止になると話題になってるが10年ほど前にNBAでも着用禁止になったAPLが。。
どちらと禁止になる程効果あるのか気になってしまう。 開発者も大変だな。 pic.twitter.com/ncrivABty9
— ゆうや (@you8ishi) 2020年1月16日
ナイキはNBAではザイオンのシューズを破裂させるなど赤っ恥をかいていました。その件で株価の時価総額が1200億円落ちていたので、このレベルのシューズには社運がかかっています。
ネットの反応まとめ
まずはナイキ厚底シューズに賛成派から。
多分足底筋膜のスプリング機能を金属等の硬いパーツを利用する事で〝機能の外付け〝するのが目的化してるからダメなんだと思う
正確ではないかもしれないが格闘技で例えるなら安全の為のグローブやシューズに防御の為のプレートを仕込んだり体にオイルを塗って臨んだりする様な
要は限度を超えている— 私は賢一 (@jomyyyzzz) 2020年1月16日
ヴェイパーフライの優れた要因がカーボンなのかズームXなのかは、ズームフライとペガサスターボを比較すれば一目瞭然。どう考えてもペガサスターボのほうが優秀でしょ?つまり反発はカーボンよりズームXのほうが強く、ズームXを規制できるレギュレーションは作りようがない。
— ヤマシン (@iitaihoudai2001) 2020年1月16日
もしかすると人によってはパラリンピックとの境界線が曖昧になる懸念すら抱く様なそれ程のものかも知れず
— 私は賢一 (@jomyyyzzz) 2020年1月16日
規制して当然。
そうでなければお金のない大学はどうなるの?お金のある有名私立大学しか出場が出来なくなってしまう。それって本当に駅伝を行う価値があるのだろうか。— きくた。 (@tomoki_kikuta) 2020年1月16日
マラソン好きでよく観ます。ある大会でトップ集団がほぼ全員同じシューズ履いていて、ちと違和感というか何か規則で新規に決まったのかと思ってました。説明を聞くとやっぱりダメなんじゃないかなと思います。
— kinzaikushi (@L3bPCW9tfCwqNgv) 2020年1月16日
同一大会に参加する選手、全員同じ靴履いたらどうでしょう。靴の性能差がなくなるから本当の実力がわかると思う(・∀・)
メーカーは怒るやろうけど、マラソン男子はナイキ、トラックはアシックス、女子はアディダスとか、メーカー抽選会したらどやろ。
現状が公平性に欠けると言うなら配慮すべき。— ♪えり♪ (@c2048020) 2020年1月16日
反対派の声
厚底じゃないと
足裏に通る赤血球が死んでしまうし
夏の北海道もわりと暑いし
選手のコンディション調整も考えたら
五輪後に改めて協議すべきかと— mami (@Jk43333357J) 2020年1月16日
何故、厚底シューズの使用を規制するのか理解出来ません
厚底シューズを履いても選手の能力がなければ記録更新が生まれる訳もなく靴のおかげで記録更新が続出していると断定するのは無理があります。— TSUJI (@TSUJI20170921) 2020年1月16日
何で規制するの?
ランナーの足を守り、かつ速く
走れるものを禁止する意味不明。— Advanced Super-HORNET🌸 (@hyper_hornet) 2020年1月16日
スポンサーの関係で入手できないとかいう制限を取っ払うだけで良いんじゃないですかね?「金出してんだからウチの使えや!」
「オメェんとこのじゃ勝てねぇんだよ!」
選手がスポンサーを断るってのは難しいか。— あるばぁと (@alb_puyo) 2020年1月16日
だったら大会毎に皆同じ靴にするしか無いのよね。アスリートが生足に近い何も足さない靴でいちいち足痛めるんだったらそれはもう競技がおかしいのよ。足の皮が分厚いのを競う競技じゃないだろ?「ナイキ」を規制した後にアディダスが厚底出して金メダル取ったら後で没収するのか?入賞なら?どうする?
— SKury (@8SeiChuKen) 2020年1月16日
カーボンプレート入りの研究を止めたら新商品も出ないだろうし、ズームフライ3をもう1足くらい買っとくかな・・・。
— neo gawa (@iXfTMKm59pFFLAk) 2020年1月16日
厚底にカーボン使用がドーピングに当たるのか?
NIKEへの嫉妬としか思いえない。— masao ラジオネーム鬼ネーム青鬼玲奈ネーム赤崎 (@MS9Gc57k2K1Cv6o) 2020年1月16日
企業努力を無にする行為。規制には反対かな
— Shohei (@shohei_zero) 2020年1月16日
アホなの?いきあたりばったりの規制で企業努力を無駄にするとイノベーションは起きません。
ただこれね、ほんと楽。膝下が持ち上がる。
— tさん (@tsan4425) 2020年1月16日
おはようございます
先日ツイートしたNIKEのマラソンシューズ「ヴェイパーフライ」
予想的中💦
中止の流れ?の報道
NIKEはたまったもんじゃなぃですよね😵
開発にどれだけの時間とコストをかけたか…
好記録連発したら中止とかナンセンスすぎません?🤔
公平を求めるなら裸足で走るっきゃなぃね🤣 pic.twitter.com/8NrQgJH03V— Naomi (@Naomi_0514) 2020年1月15日
新品未使用のヴェイパーフライはどうしてくれるんでしょうか?
まだタグも切ってないです。
禁止されたらされたで禁止シューズでもしそのまま大会走ったやつはどうなるのか。とか
そーいう案件にも繋がってくると思う駅伝とかリレーマラソンでルール
やぶってチームには迷惑かけたくない。 pic.twitter.com/Mam3orvPDZ— Ryuchoge~2/2常陸大宮駅伝幻の区間 (@Cafe6029) 2020年1月16日
タグ切ってないはちょっと面白かったです。
パラリンピックでオリンピック以上の記録も
リオパラリンピックでは1500mの上位4選手のタイムが、リオオリンピック金メダルタイムを上回っていたそうです。走り幅跳びのマルクス・レームも論争の対象になっています。
カーボン義足で踏み切ってジャンプは有利ではないかという批判に対し、以前から義足は変更していない、努力の賜物なのに見る目が変わって悲しいとマルクス・レームは発言されています。
パラリンピックの選手の中にはオリンピックに出場したい選手も少なくないので、今の曖昧なままの線引きだと、人権問題なども絡んでオリンピックが混乱してしまいそうです。個人的には義足での踏み切りはどうかと思います。
しかしカーボンは凄い素材なんですね。陸上から空を超えて宇宙まで至る空間で活躍しています。素材オリンピックがあったらメダル争い間違いなしでしょう。できれば日本人選手が得をするような決着でお願いしたいところです。