3月に亡くなったショーケンこと萩原健一さんが、ダウンタウンなうに出演した時の未公開部分が本日放送されました。以前も萩原健一さんの記事を書きましたが、個人的に日本人の中では5本の指に入るぐらいには好きな俳優さんなので、私なりに萩原健一を語ります。
キネマ旬報の「萩原健一緊急追悼」となった5月号も購入しております。萩原健一の記事が6ページ(実質4ページぐらい)しかなくて愕然としたのはさておき、70年代前半の萩原健一は間違いなく、沢田研二と並ぶ日本最大のスターでした。
では天才役者萩原健一がダウンタウンなうの未公開シーンで何を言っていたのか紹介します。
萩原健一から若手俳優への言葉
坂上忍が最近の若手俳優についてどう思うか、萩原健一に尋ねる場面がありました。
坂上忍
「優秀な方沢山いますけど」
ショーケン
「いるよー」
坂上忍
「なんか違いとか違和感は?」
ショーケン
「それはないね」「若い人は若い人なりに良い」
坂上忍
「ショーケンさんのイメージは怖いイメージだった。でも自分の受けた仕事の責任感、柔軟性は当たり前にお持ちですよね?」
ショーケン
「(笑)そりゃそうだろ」みたいな感じ。はっきりとは聞き取れず。
坂上忍
「すごい怖いと思われている」
ショーケン
「マスコミは躓いたり何かすることのほうが喜ぶ。嘘の情報がまかり通るっていうのはどうかな。僕はその辺の日本のマスコミは襟を正して欲しい。というのが本音です。」
と少しだけかつてのキレたショーケンの顔を見せてくれていましたが、若手俳優たちには良い面もあると、かなりポジティブな見解をお持ちということが分かりました。
この辺は「前略おふくろ様」で共演した梅宮辰夫さんとは対照的なスタンスですね。
ほとんどの俳優というか芸能人が,それこそテレビCMのために存在しているようになっちゃったってことだよ,みんな商品の宣伝のために出ている,そんな連中がゴロゴロしてきちゃってね,本当つまらない世界になっちゃったよ,」
— Hiroaki (@hiroapiii) 2019年5月3日
梅宮辰夫さんは、最近の若手俳優や芸能界には辟易している感じでした。
萩原健一は本当に凄い俳優だった
歌手としても活躍していましたが、業界人からは役者の方が向いていたという声が多いです。特に映画作品では「青春の蹉跌」を彼の代表作に上げる方が大変多かったです。
一緒にバンドをやっていた井上堯之さんによるテーマ曲が印象的な青春の蹉跌。桃井かおりさんも当時人気も実力も絶頂だった萩原健一さんが出演するなら、死んでも出ると言ってこの映画に出演したそうです。
この映画は映画監督の岩井俊二さんと長谷川和彦さんが対談した際に色々語られていました。なんでも岩井俊二さんが観た映画の中でベスト5、いや1位か2位ぐらいにくる素晴らしい出来の作品だそうです。
(長谷川和彦さんは知名度こそ低いですが、キネマ旬報で70年代の日本映画ナンバー1に選ばれた「太陽の盗んだ男」などを監督。青春の蹉跌でも脚本を担当しています。)
一般的には「前略おふくろ様」「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」などがありますが、どれも70年代前半です。間違いなく天才俳優だったと思いますが、素行の悪さなどもあって30歳、40歳と役者として脂ののる時期に勢いを失ってしまったのは相当もったいない気がしてしまいます。
晩年になっても内田朝陽さんへのイビりなど問題行動を起こしていました。しかし多分それでも相当丸く優しくなったんだと思います。
黒澤明監督の「影武者」ではイマイチだった
脚本家の倉本聰さんも「役者としては天才」、長谷川和彦さんも「歩き方だけでも5通りある、(水谷豊は2パターン、沢田研二は1パターンだそうです。まあジュリーは歌手なので)。モノが違った」と萩原健一に関わった業界人は皆かれの才能を絶賛しています。
それぐらい魅力的な役者でしたが、型にハメると窮屈になってしまうのか、アドリブを良しとしない、黒澤明監督の元で撮った影武者では正直イマイチでした。また喉を潰してしまったのか、すぐに声が裏返るようになったのも目に付くようになります。
そんなこんなで70年代が萩原健一の全盛期なので、今の若い人は萩原健一がどれだけ凄い役者か多分知らないんですよね。2.5枚目の軽い感じの演じ方というのは当時の日本ではかなり斬新で、あの松田優作さんもモロに影響を受けていました。
DVD化求む
松田優作が世界に名をとどろかせたブラックレインは、実は萩原健一さんも同じ役のオーディションを受けていたそうです。自分のフォロワーともいえる松田優作が、自分を抜いていく様を見せつけられかなり傷ついたかもしれません。ただ個人的に役者としてそんなに差はないと思ってます。
(萩原健一さんの著書では、松田優作さんが自分の真似をしているというような記述もあったようです。)
「青春の蹉跌」なんかはDVD化すらされていないので、ヤフオクで3万円ぐらい払うか、どこかの劇場でリバイバル上映でもされない限り見ることすらできません。
何となくショーケンが過小評価されている節があるのは、彼の絶頂期の作品の多くがDVD化されていないのが原因のような気がしてしまいます。今の俳優でいうなら、それこそキムタクとか竹野内豊さんらを最大風速では上回っていたぐらいの方なので、今一度ショーケンの作品を掘り起こしてメディア展開して欲しい所です。以上萩原健一さんについてでした。