WBSSで優勝し更に評価を高めたWBA、IBFボクシングバンタム級世界チャンピオン井上尚弥選手が、NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した際の発言がボクシングファンをざわつかせています。※亀田一家の亀田京之介は激しく反論しています。
ドネアに勝利した井上尚弥の発言と意図について考えてみます。
本日22:30〜
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 」どんな事を思い感じこの決勝の舞台まで挑んだか、WBSS決勝までの裏舞台をお見せします。
皆さん是非ご覧下さい‼︎#井上尚弥 #プロフェッショナル pic.twitter.com/Pp74yf5DeB— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) 2019年11月12日
以下井上尚弥の発言。
「自分がプロ転向する時のプロボクシング界が好きじゃなかった。勝てる相手を選んで試合をするそれがテレビで流れちゃうっていう時代だったんで」
「自分はそうじゃないと思ったし、やっぱりボクシングっていうのは真剣勝負、どっちが勝つかわからない試合をするからお客さんが熱くなるわけで。辰吉丈一郎さんだったり、畑山隆則さんだったり、あの沸かした時代を取り戻したいのがあったんですよ。それはパフォーマンスで客を引きつけるんじゃなくて、ボクシングを見に来たお客さんで溢れ返したかったんですよ」
辰吉丈一郎や畑山隆則については認めているようでした。「勝てる相手を選んで試合をする」は、明らかにこれは亀田興毅と亀田大毅のことです。(井岡一翔も含まれていると読むボクシングファンもいました)
ナイスガイの井上尚弥選手らしく、固有名詞は出していないもの、少なくとも亀田三兄弟の二人と解釈するファンが少なからずいることは賢い井上尚弥ならば容易に想像できるはずで、そう捉えられても構わないというある程度の攻撃的な発言であることは間違いないです。
当時のボクシング界の有様に辟易していた井上尚弥選手は、自身が大橋ジム入りする際、「強い相手でお願いします」と厳しいマッチメイクを課して現在のレジェンドボクサーに至る、という背景があったようです。
この井上尚弥の発言に対し怒ったのが亀田三兄弟の従兄弟にあたる亀田京之介。
井上尚弥が興毅に
なんかゴタゴタゆーてるけど
自分で自分の価値下げるな
チャンピオンならチャンピオンなり言葉選べ
世界の壁自分が1番わかるやろ?
それをゴタゴタゆーて
もう引退してるのに今更何ゆーてん
ドネア戦も判定行きやがって
倒せや雑魚兄弟
弟なんかもっと弱い
やる?俺と— 亀田京之介kyonosukekameda (@boxing_kyo) 2019年11月16日
井上なんかより
俺の自慢の従兄弟亀田三兄弟の方が
強いし自慢できるし尊敬するよ!叩きたきゃ叩け!
何とでも言え!
俺は思った事を言うWBSSで優勝確かに化けもん
でも、優勝したからってそーやってゆーな
マジで情けない
勝ったから吠えてるのか?兄弟二人とも潰してしまうぞ😊
— 亀田京之介kyonosukekameda (@boxing_kyo) 2019年11月16日
ツイッターで懐かしい挑発を展開していました。
亀田興毅以外も同じことをしていたは極論
この手の話になると他の日本人ボクサーも同じことをしていたという意見も出てくるんですが、亀田興毅と亀田大毅に関しては明らかに度を越えていました。(端的に言うと度合いの問題です)
マニア的視点でいうと畑山隆則も辰吉丈一郎も話題先行型ではありましたが、許容範囲内です。協栄ジムでいうと鬼塚勝也という疑惑判定の世界王者がいましたが、そのスケールは亀田興毅の方が上回っています。
指名試合でなければ、投資してきたジムやテレビ局の事情もあるのである程度組みしやすい相手を選ぶのは仕方ないです。ただ引退していた階級下のボクサーを引っ張り出して挑戦者に仕立て上げたり、世界王者への挑戦ではなく王座決定戦を巧みに利用し名ばかりの3階級王者になったりと、マッチメイクが滅茶苦茶な上に、判定まで疑惑の連続となればボクシングに人生をかけている人間に良く思われるはずがないです。
亀田は那須川天心にボコボコにされたけど、因果応報。亀田もポンサクレック、ムニョス、ランダエダなど引退してた元チャンプを引っ張り出してボコってた。今度は自分がされる番になってしまった。
— 中田中 (@nakatanakanakan) 2019年6月23日
公式試合ではないですが最後は引退していた自分が若い那須川天心にいいようにやられるという因果応報でボクシング人生に幕を下ろしました。
TBSが関わるとロクなことにならない
亀田一家の試合は全部TBSが放送していました。他のジャンルはともかくとして格闘技とTBSが関わるとロクなことにならないです。大昔の沢村忠にはじまり魔裟斗を主役に据えたキックボクシングイベントのk1MAXも、アンフェアなジャッジとマッチメイクでコアな格闘技ファンを興ざめさせました。
魔裟斗と亀田興毅の共通点はかなり多いですね。リング外での派手な言動とは裏腹に石橋を叩いて渡るかのような堅実な戦い方、過保護なマッチメイクでとにかくライトなファンをターゲットにしたコンテンツの展開をしていました。
格闘技ではないですが大食いイベントもTBSの介入でおかしなことになっていました。ガチンココンテンツをエンターテイメント化するのがTBSのお家芸ですね。実際にそれで視聴率はとれているので成功したようにも思いますが、結果的に関わったジャンルは軒並み衰退しています。
フジテレビは格闘技に関してはスポーツの体を成していて割とまともだと思います。
井上尚弥の狙いは
以前からチクチクやっていた節はあるものの、ここへきて露骨なディスりとなったのは圧倒的な評価を得たことによる自信と、あとは人気を出すために頑張ってるのかなという気がします。
(ボクシングファンには文句なしの人気ですが、日本の90%以上を占めるであろうライトな層からは今のところキャラクターの弱い好青年と映っているはずです。実際にドネア線は神試合だったにも関わらず平均視聴率15%、瞬間最高でやっと20%でした。)
世界最高水準のスキルであるという自負はあるはずなので、そんな自分が内容も展開も完璧な試合をしながら、結局はパフォーマンス偏重の亀田興毅の視聴率40%の半分程度という事実に、路線変更を決意しても不思議ではありません。
ギャラ事情
最近米国で戦った日本人の公式ファイトマネーは
西岡10万ドル(ドネア戦)
亀海 19.5万(コット戦)7.5万(ゲレロ戦)
三浦 40万(Fバル戦)19.5万(ベル戦)
村田 30万
井上 20万
亀田 7万
井岡 2万5000
近藤 1万5000
岡田→1万→2万→1.25万正直夢がある金額とは言えない
そして勝ち続けないと増えない— ひじき (@captainhijiki) 2019年11月12日
こちらは近年の世界王者の世界戦ファイトマネー。井上尚弥ですら1億円には到底届きそうにないです(WBSSの賞金は別)。
少し上の階級にロマチェンコという現状PFP世界最強と評判のボクサーがいるのですが、彼でさえ1試合1億円をギリギリ超えるラインです。ですので、井上尚弥が世界的なチャンピオンになったとはいえ、バンタム級近辺でカネロやゴロフキンのように数十億円を稼ぐのは難しいでしょう
となると日本の資本でバックアップするしかありません。辰吉丈一郎と薬師寺保栄、畑山隆則と坂本博之は世界ではビッグネームではなかったですが、日本での試合は話題を呼びそれなりのファイトマネーを得ていました。
井上尚弥にとっては井岡一翔と亀田和毅というその候補はいますので、世界を対象としたビッグマッチの合間に、国内向けに話題性重視の試合で盛り上げる路線もなくはないです。
プロフェッショナルをご覧頂きありがとうございました‼︎
この人なしでは辿り着けなかった舞台。
本当に感謝しかありませんよ、、
また期待して下さい👍🏻 pic.twitter.com/YcgiHZQkMQ— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) 2019年11月13日
パックリ割れた傷も素早く応急処置をして頂いたおかげで綺麗に縫い終わる事が出来ました‼︎
こんなアクシデントもあるのがボクシング。
何が起こるかわからないから楽しい。
ボクシングは奥が深いね。 pic.twitter.com/5DFJiqMhEe— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) 2019年11月8日
ネットの反応
賛否ありました。
名前は出してないけど、井上尚弥が亀田家をディスった。
— R.a.C.F.T.@格闘技垢【12.29 BELLATOR/12.31 RIZIN.20行きます】 (@Ra_CFT_mma) 2019年11月12日
プロフェッショナル見てないんですけど井上の言う「勝てる相手を呼んでやる試合」の例としてやたら亀田を引き合いに出してますけど、別に亀田に限らず帝拳や協栄もやってたよね?そうやって歴史を直視しないからマイナー化するんだって
— Hard Blow!(亮チャン応援隊) (@hardblowblog) 2019年11月12日
井上尚弥の主張はめっちゃ正しいんだけど、ジムもせっかく育ててベルト巻いたのにすぐ陥落したら投資してきた見返りがないし、防衛戦で何戦かは楽な相手とのマッチメイクも許してもいいんじゃないかと思うんだけど、甘いかな。
— 宮本摩月 (@miya_mazki) 2019年11月12日
その考えも一理有ると思います。そしてあの発言は誰かを傷付ける発言にもなりかねないので、俺はあまり良い気持ちはしませんでした。絶対〇〇の事だと騒ぐバカ出て来ますよね。もう出てるか(笑)
— 本当の名も忘れてしまった、ただの武尊ファン (@antisine) 2019年11月12日
暗に○岡と亀○家をディスってるっていうツイートいっぱいありますよ。
— 宮本摩月 (@miya_mazki) 2019年11月12日
でね、仮にもその二人は井上尚弥の先輩な訳ですよ。亀田と井岡がボクシング人気を支えてくれたから貴方もこうして試合出来るんじゃないの?と思うんですよね。何で先輩を馬鹿にするような言い方するのかなと。強ければ何を言っても良いんですかね?
— 本当の名も忘れてしまった、ただの武尊ファン (@antisine) 2019年11月12日
横からすいません。亀田、井岡で離れたファンがそれ以上にいる訳で。。。当時、ファンの期待に応えた総合格闘技に格闘技ファンは流れました。
そして井上は亀田、井岡とは一言も言ってません。最低限のラインは守った。固有名詞を出して彼らを貶めているのは誰?— こうふく (@Koketaratatu) 2019年11月12日
井上尚弥も聖人君子では無いので許容範囲かとは思います。実際に煽りを喰らった一人だと思うので。
あと私は井岡に関してはファン減らしては無いと思います。亀田に関しては嫌いではありませんが、ファンは減らしたと思います。— こうふく (@Koketaratatu) 2019年11月12日
井上尚弥が番組で純粋なボクシングが好きで、あの頃のボクシングを取り戻したいと語っていて色々腑に落ちた。キャラが薄いだのなんだの言われたことあったけど、亀田を反面教師にしてる節があるからある意味褒め言葉なのかも。キャラなんかではなく俺のボクシングを見て熱狂してくれと。
— stone (@GoingStone) 2019年11月12日
私は「パフォーマンスがあってもいいんじゃない派」です。辰吉さんもビッグマウスや腕グルグルが魅力でもありました。
井上尚弥の「ボクシングだけで魅せる」という考え方も素晴らしいと思います。有言実行してる点も含めて。
和毅には頑張ってもらいたいですね。亀田家ってだけで偏見持たれてるから。— 宮本摩月 (@miya_mazki) 2019年11月12日
井上尚弥、プロフェッショナルでさらっと亀田批判。清々しい。
— 鼠田チュー (@nezumidachu) 2019年11月12日
井上尚弥の評価
井上尚弥、米放送局PFPで世界3傑入り快挙 「ドネア戦の試練が評価高めた」と称賛 | THE ANSWER https://t.co/JSuHnyIAvn
— プクー (@pukubox) 2019年11月13日
問題児ネリ、井上尚弥陣営を果敢に挑発「ドネアを過小評価」「あのパンチは効かない」
ちょっと前の井上はバカみたいに強いのにバリューがないからみんなが対戦を拒絶してたが、今なら名誉も金もついてくる。一角のボクサーだったらその首を狙うのは当然。もっとも井上は一人だから順番待ちが大変だ…— 小川バー (@offside1962) 2019年11月13日
この前の試合で底を見せていたので評価を落とすかと思いきや、専門誌などではやや評価が上がっていました。PFPではロマチェンコとカネロに続いて3位という評価が多かったです。底の知れなさがなくなったことよりも、耐久力とスタミナ、対応力を示したプラス面の方が上回ったようです。
現在はリゴンドーやテテ、ネリなど数々の有名ボクサーから対戦に名乗りをあげられています。これは勝てるからというより井上尚弥がビッグネームになった証拠ですね。レジェンドボクサーはみんなこの道を通ってきました。この試練を乗り越えてさらなる飛躍に期待しています。