小学5年生の児童が柔道の乱取り後に亡くなる事故が発生しました。
死因は「急性硬膜下血腫」とのことで頭を強く打ち付けたようなので、詳細は遺族の意向で明らかにされていませんが、組技系の事故で頻発している頸椎の負傷ではないようです。
日本とフランスの柔道死亡事故件数の比較、安全な格闘技と武道の存在について考えます。
【柔道練習中 小5男児が死亡】https://t.co/JaORzlI8Dl
柔道の練習中に小学生の死亡事故が起きていたことが分かった。全柔連は再発防止のために、「1日の活動は2時間が上限の目安」などとする指針をまとめた。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2019年11月18日
全日本柔道連盟は現在のところコメントを出さない方針でいるようです。(遺族への配慮もあるでしょう)
全柔連は事故防止のため活動日数や練習時間にガイドラインを設けるなど対策はしていますが、一定の間隔で死亡事故が起きてしまっています。柔道は素晴らしい競技ですが、今の日本の指導システムにおいては児童が一定確率で死んでしまう危険性を伴っているので、廃止を求める声もあります。
フランス柔道は死亡事故0
少なくとも2004年以降の13年間でフランスにおける柔道の死亡事故件数は0、対して日本は23件という大きな違いがありました。
以上https://www.waseda.jp/tokorozawa/kg/doc/50_ronbun/2017/5017A303_abs.pdfより引用した間野義之教授の調査結果です。
事実であれば両国の指導方針の違いにより、日本でのみ重大な事故が起きていると考えられます。目立った指導方針の違いとしては、フランスは同じ体格と帯同士での練習、町道場であってもフランスは指導に国家資格が必要な点でしょうか。また日本のみ初心者が大会に出場することができます。
今や歴代最強の柔道家となったリネール選手を見ていると疑問に思うところもありますが、礼儀作法もフランスは重視しているようです。オリンピックレベルだと日本は結果を出していますが、一般競技者レベルの指導においてはフランスに教えを請うべきかもしれません。
(精神性においても外国はスポーツとして柔道を解釈しているのに対し、日本では武道精神のあまり根性論が強く事故を誘発しているのかもしれません)
柔道は中学校から必修科目
2012年から中学校の学校教育で「ダンス」と「武道」が必修科目になりました。
子供が中学から「柔道着購入のお知らせ」を持って帰ってきた。
中学で柔道必修だって。
いらないわ。
3,900円。お金の問題ではないけど、柔道着買わせて武道を学校で必修にするあるのか?
柔道着買わせたいだけだろ。— *hana* (@Ccnhrm) 2019年9月5日
文部科学省によると
武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視
とのことです。まあこの辺は建前で実際のところは柔道着販売などの利権絡みでしょうか。日本の児童は運動不足になっているのでその解消も見据えた必修化でもあるかもしれません。これについては子供の怪我を心配している保護者が数多くいました。
格闘技と武道の危険性 安全な競技は?
危険な格闘技、武道は柔道だけではありません。数年前にはレスリングでも谷口慧志選手が頸椎を損傷する重大な事故が発生しています。
《レスリング代表合宿で全身付随……》
レスリング元学生王者 谷口慧志選手(22)憤怒!
全身付随になった選手でなく、
当時の栄コーチとレスリング協会に!
合宿中の事故、保険すら入っておらず、
監督及びレスリング協会は一切謝っていないらしい。
ほぼ知らんぷりん。
ひどい。#週刊文春 pic.twitter.com/h0RlFqE2oa— 勇 亮一二三 (@pico_tanaka) 2019年4月12日
全国中学校の6割で柔道の授業が次々と始まっている。
2017年度は年間10時間足らずの柔道授業で8,656人もの中学生が通院するほどのケガを負った。
危険な柔道をいかに安全に教えるための力量が乏しい教師が多いことを危惧する。https://t.co/KRZwiQss0C— 全国柔道事故被害者の会 (@judojiko) 2019年11月11日
再発防止以前の問題。とぼけた大人、教育委員会。
巨額補償、慰謝料、指導怠慢、過失責任問題。
英国なら簡単に裁判で負ける。6時過ぎは帰宅時間。
■<部活事故>中1女子、柔道で頭打ち死亡 福岡市教委発表(毎日新聞) - goo ニュース http://t.co/E27lT2dcCA— person (@baezjoansong) 2015年5月28日
柔道で29年間に118件の死亡事故というのは学校管理下のこと。民間道場での死亡事故は含まれていません。
→それを知る唯一の手がかりは,全柔連の「障害補償・見舞金制度」の支払対象となった事例です
→2011年を境に,事故事例の情報が非公開となりました
— 内田良/部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) 2013年7月9日
組技系の格闘技は投げがあるので、どうしても首を怪我してしまう危険性があります。柔術は比較的安全ですが、相手をひっくり返す際に背骨を折りたたんでしまう事故が発生したことがあります。
ボクシングなど頭部への攻撃が認められた打撃系の格闘技も当然危険です。深刻な事故がないのは剣道、合気道、顔と頭部への攻撃が禁止された空手ぐらいでしょうか。(熱中症やかわいがりなど間接的な事故は別とします)
特に合気道は競技としては弱いですが、安全性という意味ではかなり完成度が高い武道であると考えています。但し柔道やレスリングの受け身は日常生活の事故防止に役立つこともあるので、そこは一長一短です。
ネットの反応まとめ
一生懸命練習してたのに残念です😣こんなんじゃ子供を通わせられないですね。お悔やみ申し上げます。
— 檸檬 (@LRpI0zlnVLGbNJT) 2019年11月18日
結局、指導のガイドラインだとか啓発活動だとか、指導者の自主性に呼びかけている程度では重篤事故は防げないんじゃないのか。小・中学生の試合や大会は全部廃止くらいにして指導者の「勝たせたい」気持ちが湧きおこりえない構造にしないとダメなんじゃないのか。
— カクイシ シュンスケ (@ekus__nuhs) 2019年11月17日
柔道練習中の小5男児死亡。
無理を強いられやすい環境だろうし
本人も無理をしてしまう。中学の柔道(必修)での
事故も多いらしいし子どもが中学に進学したとき
どうすればいいだろう私立が人気なのが分かる。
— めー子@療育ママ (@Uchinokohack) 2019年11月18日
武術/武道での事故や怪我は付き物で、いつか何処かでは必ず起こり得ます。
しかし、習う方が「未熟なので怪我しました」と言うのは良いが、教える側が「お前が未熟だから怪我したんだ」的な発言は筋が通りません。
— 光岡英稔 (@McLaird44) 2019年11月13日
子どもが健やかに成長していくときに柔道が必要不可欠なわけじゃないので。死亡事故を止められない日本柔道というものを世の人は子どもに学ばせたいと思うんでしょうか。
— カクイシ シュンスケ (@ekus__nuhs) 2019年11月17日
専門の指導員が必要。素人教師がやったら危険。受け身などの基本ができないとだめ。
— サトシ@畿内大和国 (@0716Satoshi) 2019年11月18日
死亡事故ということは、多分投げられた際に首を損傷したんですかね。
僕も昔柔道をやってましたが、特に小学生などはちゃんと専門の指導員が指導・監視してないと危ないですよね。— 猫丸 (@combatnm) 2019年11月18日
全柔連の補償とかどうなってるんだろうね。
保険など無しなら柔道なんかやらない方が良いね。
— KIDD(もっちん侍) (@kidd_510) 2019年11月18日
柔道は危険だよ。それに担任が柔道経験が浅くて指導してる所もある。立ち技の投げの競技って危ないから子供は寝技をやるべき。
— バ㌍タ (@aE0zjRvD1nWbFDF) 2019年11月19日
お悔やみ申し上げます。
死亡事故後の裁判 補償はどうなる
2011年に起きた柔道死亡事故では、指導者に罰金刑100万円が課されていました。
なんだかなぁ‥ >柔道練習で小1男児死亡 指導者に罰金刑 大阪地裁「過失重い」 - MSN産経ニュース http://t.co/FK7QTW3k
— せっちゃん (@liaotailg) 2011年10月5日
裁判官が「児童に十分な受け身を習得させていなかった過失は重い」と言った上で100万円なので、いまのところ日本では被害者の遺族が納得できるような裁判結果を望むのは難しい状況のようです。
突然柔道授業や部活、町道場を無しとするのは現実的に無理なので、何らかの変革が必要だと思うのですが、毎回事故の度に場当たりの対応をしている印象です。改善をお願いしたいところです。