試合が決まった時点で大勝利だと思っていましたが、思いのほか批判的な声が集まっている那須川天心について。その批判の一部に魔裟斗ならこんなことになっていなかっというかつてのスターを懐かしむ声もありました。
大晦日のRIZIN14でメイウェザーに、1RにTKOで敗れるという大失態を演じてしまった「神童」は何故魔裟斗になれなかったのかということで、魔裟斗との違いや今後について考えてみます。
こちらはメイウェザーとの試合動画。
プロレスではないですが、大晦日のエキシビジョンということで、最初はメイウェザーもヘラヘラしてその態度には腹立ちましたけど、逆に言うと茶番に付き合ってくれそうな立ち上がりでした。
ところが那須川天心が全力で仕掛けたため、そっちがその気ならということで体重も技術も何もかも差がある試合は、アグレッシブでハードパンチャーという見慣れないメイウェザーが顔を出し、あっという間に終わってしまいました。
魔裟斗と那須川の違い
魔裟斗や山本KIDは、日本国内でスターになることができました。
那須川はRIZINにプッシュしてもらってはいますが、視聴率は6%程度でバラエティやCMでの露出も少なく、いくら格闘技ブームが去ったとはいえ、人気の実態はかなり寂しいもんがあります。
魔裟斗さん。今でもかっこいいです。
彼が那須川天心と違ったのは、見た目の華、体重、格闘技ブームの土壌、そして今回強く言いたいのが、相手の有利な土俵では決して戦わなかった事です。
魔裟斗が、現役時代にバーナードホプキンスやロイジョーンズとボクシングマッチしろと言われたら、多分断っていたでしょう。彼はボクシングで名を上げたロートルや、総合選手をK1に連れてきて蹴り倒すという勝利の方程式を持っていました。
ボクシングではボクサーが最強、キックではキックボクサーが最強という当たり前のことを深く理解していた魔裟斗は決して冒険することはなかったです。
後はファンには耳の痛い話になりますが、K1からの過保護ぶりも半端ではなかったです。
審判団もうまく味方につけていました。
ブアカーオ戦と佐藤嘉洋戦は露骨すぎましたが、この辺の団体との癒着ぶりも那須川は魔裟斗には及んでいないです。
競技としては酷い話ですけど、RIZINやk1は競技というより興行ですし、何より商品価値があったから保護してもらえわけです。商品価値は興行の世界では圧倒的なアドバンテージになるので、広義では強さとも解釈できます。
那須川にも高い商品価値があれば、榊原さんもメイウェザーに更なる大金を払って変則ルールにする努力をしたでしょうし、今のところは那須川にはそこまで投資するほどの商品価値はなかったことになります。
ルールは強いほうが決める
キックルールだったらどうなってたかみたいな話もされてますが、メイウェザーはキックルールなら戦わないのでその仮定は無意味です。彼はボクシングだけじゃなく、商品価値でも最強なので、キックルールという下のステージに降りてくる必要がありません。
要は強いほうがルールを決めるんですよね。
那須川天心とRIZINは、メイウェザーとボクシングより弱いから、今回のルールでの試合を強いられました。那須川が日頃戦場にしているRISE等はムエタイより強いから、自分たちに有利なルールでムエタイ選手と戦えています。
今回はいつもとは逆の構図になっただけです。
そしてアリと戦った猪木もそうですが、負けて当たり前とはいえ、もう少し勝負に拘ってもよかったのかもしれないです。ま結果論ですかね。あそこまでの秒殺劇になると予想していた人は少数だと思います。
RIZINは総合のイベント
そもそもRIZINは総合のイベントです。
なので総合格闘家の堀口恭司に面白い相手を連れてくることはできても、キックボクサー那須川のために噛み合いそうなキックボクサーを連れてくることや、キックボクサーを集めてストーリー性を持たせることもできない団体です。
今日は残念だったけど、この試合を糧にさらに強い天心選手に進化することを楽しみにしてるよ!!
最後のカンナ選手とのからみが可愛かった(笑) pic.twitter.com/6O1CX8IHgT— ぴろ (@piroshiki2223) 2018年12月31日
才能があるのでプッシュしたくなる心情は分かるんですが、総合の選手にキックやらせたりと過去に散々やりつくされた手法を多用するので、格闘技ファンにはそっぽを向かれてしまってます。
(那須川の試合はRISEに出たときのほうが面白いという珍現象も起きています。)
RENAは本格的に総合をやっているのでいいんですが、那須川天心はそもそもRIZINという団体とはベクトルが違うという根本的な問題を抱えています。年齢は若いですが、RIZINの寿命はそれほど長くなさそうなので、何かしら変革すべきかなと感じます。
那須川は天才
散々言いましたけど、キックボクシングルールなら天才だと思ってます。
(現段階で最強とは言ってない)
更に今回の炎上に等しい批判的な意見はさすがに厳しぎるとも感じてます。ちょっと調子乗ってた面はありますし号泣はみっともなかったですが、もう少し温かく見守る事はできないもんでしょうか。
大晦日のRIZIN14のエンディングで、涙が止まらない那須川天心をペチンする浅倉カンナ。
二人とも日本格闘技界の至宝。
競い合って、助け合ってもっともっと強くなってください。#RIZIN #那須川天心 #浅倉カンナ pic.twitter.com/XzEt0RB2ag— アキヒロ!@プロレス&格闘技専用 (@Akihiromma) 2019年1月1日
試合後に彼女の浅倉カンナから慰められる那須川天心。すごく微笑ましい気持ちになりました。
魔裟斗と違い少し情けない一面も見せてしまいましたが、スターの在り方は様々です。まだまだ若いですし、ここからの再起に期待しています。