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野村克也の凄さ 捕手で三冠王 監督でID野球 解説者でぼやき

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元プロ野球選手の野村克也さんが84歳で死去されました。

高齢だったとはいえピンピンコロリに近かったため、息子の野村克則さんのおっしゃっていたように死を受け入れ難くはありますが、不世出の野球人が如何に突出し優れていたか、本記事で紹介致します。

野村監督は選手時代に捕手として三冠王、監督時代にデータを元にしたID野球の浸透、解説者としては野球の解説をエンタメ化するという、各カテゴリーで画期的な成功を収めています。それぞれの野村克也を振り返ります。

 

引退後の野村克也 解説のエンタメ化

野村克也さんは本当に頭が良かったです。

個人的に歴代の著名な日本人アスリートでは一番頭が良かった方かなと思っています。言語化能力に優れていたのでしょう、的確かつ素人の我々が興味を持てるような言葉のチョイスと話の組み立ては毎度関心していました。アスリートでは稀有なタイプだと思います。

配球の組み立てや投手心理、打者心理などをここまで具体的に言語化されて解説したのは、少なくとも日本では野村克也さんが初だと思います。今現在のソフト化されたプロ野球ニュース、youtube解説動画などのパッケージを作った一人といっても過言ではないです。

あとは皮肉もエッジが効いていて素晴らしかったです。(ユーモアも大事にされていたようで、組織を動かすにあたりユーモアは潤滑油になるとの発言も)

落合博満さんや桑田真澄さんなど鋭い解説されるOBは他にもいますが、ニワカ層を巻き込むには少し硬かったです。その点野村監督は絶妙な皮肉を織り交ぜ、時に哲学者のような名言も残されています。

 

野村監督の名言

「心配は行動力の不足からおこる」「他人の忠告は天の声」、その他にも「自己犠牲をいとわない人には、信頼が集まる」、「部下を信じるというのは、リーダーの重要な資質」、など野球の世界に留まらない格言を残されています。

ヤクルトの監督時代には報道陣も記事になるため助けられていたと思います。これらはざっくりと「ぼやき」として野村監督の一つのカラーとなり、プロ野球界を大いに盛り上げてくれました。

 

選手野村克也 通算warは歴代2位 捕手で三冠王

warは総合指標のセイバーで日本には浸透していないため、暫定的な簡易warになりますが、通算では王貞治に次いで打者部門で2位でした。

(以下https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-1060.htmlより引用)

1位 王貞治
2位 野村克也
3位 張本勲
4位 長嶋茂雄
5位 山内一弘
6位 落合博満
7位 山本浩二
8位 福本豊
9位 金本知憲
10位 門田博光
11位 豊田泰光
12位 川上哲治
13位 阿部慎之助
14位 榎本喜八
15位 小笠原道大
16位 江藤慎一
17位 松井秀喜
18位 土井正博
19位 T.ローズ
20位 松井稼頭央

野村克也が約125、阿部慎之助が約68と2倍近くwarに差があります。

投手と違って昔の選手がでたらめな稼働率だったわけでもないので、現代の選手が絶対的に不利とも言えない中で2位というのは、選手野村克也の素晴らしさを証明しています。

(但しイチロー松井秀喜など超一流はMLBに行くようになったので、そこは考慮する必要があります。)

 

捕手として三冠王

捕手という守備の負担が大きいポジションで、野村克也の打力は驚異的でした。

身体能力に目を見張るものは無かったですが、配球や投手のクセに着目、分析、という一人データ野球により情報戦では他の選手達のはるか先をいっていた印象です。例えば苦手としていた稲尾和久攻略のため、当時貴重だったビデオカメラで稲尾和久の投球フォームを撮影し繰り返し分析、ついにはあるクセを発見し攻略に成功したそうです。

(後にオールスターで杉浦忠が悪気無く口を滑らせてしまい稲尾和久はクセを修正)

変化球と直球では握りが違うため、多くの投手が少なからずフォームに変化が生じることを発見し、それを活かす方法を実践していた野村克也氏の先見性は、三冠王含め野村克也の打撃成績の根幹といっても過言ではありません。

 

弱点は肩と走力 盗塁阻止率は

ウィークポイントは走力とその肩の弱さです。肩の弱さは息子のカツノリ氏にも遺伝していました。走力は打撃力で補えるので特に問題にしていなかったかと思います。

ただし投手のクイック導入(これも野村克也考案と言われています。凄いですね)など工夫することによって、盗塁阻止率ではキャリアベストで.524と見栄えのある記録を残されています。

ちなみに同世代だと

セリーグ

巨人 森 .422(45-19) 吉田 .425(40-17)
阪神 田淵 .552(67-37) 辻恭彦 .357(42-15)
大洋 伊藤 .279(61-17) 大橋 .308(39-12)
広島 水沼 .487(39-19) 久保 .429(35-15)
中日 木俣 .425(120-51)
ヤク 大矢 .568(88-50) 久代 .350(40-14)

パリーグ

ロッテ 醍醐 .314(118-37)
南海 野村 .351(134-47)
近鉄 辻佳紀 .427(89-38)
阪急 岡村 .340(103-35)
東映 種茂 .279(86-24) 山本 .186(43-8)
西鉄 宮寺 .259(239-62)

通算記録の歴代ランキング(1969年以降で500試合以上出場)は・・・

1 古田敦也 .462
2 大矢明彦 .433
3 田淵幸一 .422
4 梨田昌孝 .391
5 城島健司 .383

肩と送球に関しては古田敦也が図抜けています。

 

監督野村克也は名将と言えるのか

選手時代、解説者時代は間違いなくその道のトップオブトップですが、’勝つか負けるか’という観点においての監督としての力量は、やや疑問が残るパフォーマンスでした。

というのも野村克也は「弱小球団でそこそこ戦う」ことにおいては優秀でしたが、「強豪球団で常勝チームを作る」監督にはチャレンジすらしていません。そこは一つウィークポイントで、森祇晶、原辰徳、落合博満らに一歩及ばない要素と言えます。

ちなみに通算では1556勝1563敗で、勝利数は歴代5位、敗戦数は歴代1位です。

野村…1566勝1564敗 .500
落合…629勝491敗 .562
星野…1198勝1066敗 .529
原…1029勝777敗 .570
森…791勝591敗 .572
仰木…988勝815敗 .548
長嶋…1034勝889敗 .538
王…1345勝1141敗 .541

主な名将の勝率は上記の通りです。

 

伊藤智仁は野村監督が壊したのか

監督野村克也に一つ影を落としているのが、投手伊藤智仁、岡林洋一の酷使です。

やや編集に批判がありましたが、番組内で野村監督が伊藤智仁に謝罪する貴重な一幕があったそうです。

「伊藤が『肘が』と言った時に、『責任は俺かな』とすごく思っていた。使いすぎたかな、すごく申し訳ないなと。それだけは謝りたい。間違いなく俺以外の監督の下なら、記録は絶対に残しているよ。俺が邪魔したみたいだ。申し訳ない」

対して伊藤智仁は

「僕は自分の責任だと思っています。そういう風に思ってほしくないです」

と恐らくは本音で語り一切恨んでいる様子はありませんでした。

野村監督の死に際しても、ルーキーイヤーに完投した試合の後に滅多に褒めない監督から「ああやっていけば必ずこの世界で成功できるから」と声をかけられたことが勇気づけられたと、コメントを残されています。

当時は分業制も確立されておらず、伊藤智仁自身もルーズショルダーだったので、野村監督一人の責任ではありませんが、一部からずっと批判されていました。しかし決して勝利至上主義の愛のない監督ではなかったことは分かって頂きたいです。

 

代打高津が痛快すぎる件

1996年のオールスターで、打者松井秀喜⇒お祭り大好き仰木監督が投手にイチロー起用⇒意趣返しと松井保護のため野村監督が高津を代打に起用、という野村監督の頭の良さとユーモアセンス、選手への優しさが凝縮された素晴らしい一幕がありました。

相当賛否ありましたが、野球は平凡な投手でも7割近くは抑えられてしまう競技なので、個人的には野村監督の采配を支持しています。

試合後のコメントも素晴らしく、確かに敗戦数は歴代1位かもしれませんが、不人気球団に客やマスコミを呼ぶ集客力の高さも含めると、名将といって差し支えないと思います。以上野村克也の凄さについてでした。










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