RIZIN信者もアンチも待ちに待った「RIZIN八百長疑惑」への公式見解が榊原信行CEOの口から直接語られました。おおまかにまとめて考察したいと思います。
まず要点ををざっくりまとめます。
・シバターと久保優太は処分無し
・アナウンスが遅れたのは正月休み(スタッフが休めるの正月のタイミングだけ)と両選手へのヒアリングのため
・シバターはRIZINに体調が悪い、試合を止めたいと伝えていた
・RIZINに八百長はない
・RIZINの交渉窓口は笹原。シバターのブラフをいつもの調子だと思っていたが、次第にシバターは本当に試合を止めるかもと疑念。さらにシバターが体調が悪い云々言っていることを久保も知っているとRIZIN陣営は認識。しかし以下理由により真剣勝負になるとの見解。
・久保陣営は。RIZIN陣営に対して、真剣勝負して倒すと言っていた(あくまで「久保陣営」。久保本人とは限らない。ここ大事)。
・久保はピュア。シバターの術中にはまったままリングに上がったように見えた
・炎上系ユーチューバーに一本取られた
・久保とシバターの試合は真剣勝負だった
・シバターは品性下劣。ただしスポーツは必ずしもスポーツマンシップに則った戦いばかりではない。
どうやら、久保優太とシバターの再戦がありそうです。シバターと久保が受ければですが、そこは榊原さん得意なところなので必ず実現させるでしょう。
格闘技ファンとしては開いた口が塞がらない結末ですが、RIZINの主なファン層やUFCとの資金差、選手層の差などの事情を踏まえると、致し方ないです。少なくともこれでスポンサーとテレビ局に対しての体裁は整うとの判断だと思います。
仮にシバターが消えたとしても第二第三のシバターとなる炎上系ユーチューバーを連れてくる方向性となり、競技団体からはますます離れていき、エンタメ興行団体としての色合いがより強くなるのではないでしょうか。
私としては、RIZINはもともとそう真剣に見たわけではないので、ちょっと残念だなぁぐらいの気持ちでしたが、ただ久保シバターが再戦したらTVにかじりいてみてしまうと思います。
張本人の二人よりも、彼らをネタにしているいっちょ噛み系ユーチューバーの方に遺憾の様子だったのはちょっと面白かったです。
さて不正疑惑についてですが、久保本人は私もリング上で迷いがあるように見えました。久保本人と久保陣営とが意見が食い違っているのは、久保優太本人が、あっちにもこっちにもいい顔をしていただけ説もありそうです。
あとは他のスポーツもスポーツマンシップに反する行為はあるといっていました。それがルール違反で尚且つ明るみになったのであれば、スポーツであれば処分されるのが通例ですが、シバターもRIZINのルールには反していないようなので、それもあって処分無しとなるようです。(シバターのやった行為は今後はルール違反に)。
最も重要な、笹原さんが、一連のやり取りを認識していたかどうかは詳しく触れられていません。
シバターが体調が悪いと言っていることを久保陣営が認識していることは、RIZIN陣営も知っていたようですが、それが例の具体的な不正の提案だったのかどうかは、榊原さんのアナウンスでは断定できないです。恐らくはそうだと思いますが、やや濁していました。いずれにせよリングでの勝負は真剣だったので問題はなかった、ということになっています。
八百長の定義
まず青木真也や他の格闘家がいっていた「申し合わせであって八百長ではない」は必ずしも正しい意見ではありません。
シバター久保戦の申し合わせ案件にずばり言うわよ!の巻|青木真也 shinya aoki @a_ok_i #note https://t.co/uLATPs7v54
シバターさんがカンペにしたのではないかと言われる青木note。どうもありがとうございます。
— 青木真也 Shinya Aoki (@a_ok_i) January 10, 2022
八百長という日本語は、相撲発祥ではありますが(諸説あり)、現在は相撲界、格闘技界にとどまらず、全ての真剣勝負に対して使われている言葉で、辞書を引くとどうも「ケツ決め」だけに限定していないようです。
勝敗に何らかの影響を及ぼすような不正行為、これが八百長となると私は解釈しました。
例えば野球で先発投手が5回まで手抜き投球をしてリリーフに交代みたいなことをしたら、八百長行為になるでしょうし、柔道の試合で寝技が得意な選手に対し、寝技禁止の申し合わせをしてもこれは八百長となると思います。
久保とシバターの申し合わせは勝敗に影響がないというわけではないので、これを「八百長ではない」と言い切ってしまうのはちょっと苦しいです。
ただし見解が分かれる内容であることは分かりますので、「不正試合」と表現するのが良いかと思います。
といってもあくまでシバターの提案通りに試合を運んでいたらの話で、榊原さん曰くシバターも久保本人も真剣でしたので、そもそも不正試合や申し合わせの試合ですらない。ということになっています。(久保はピュアでシバターにだまされてはいるものの、その上で真剣。後述します)
アスペや発達障害を都合よく使う問題
久保優太さんはどうもアスペルガー症候群で、今回の件もそれが意思疎通に支障をきたし、世間を騒がせる大問題に発展してしまった、との擁護があります。
アスペルガーは確かにそのような過失的なトラブルを起こしますが、同時にアスペルガーであると分かっているのであれば、トラブルに備えて本人も周囲も対策しなければいけないはずです。
例えばギャンブル依存症は、病気認定されていますが、それによるギャンブルでの借金は原則として帳消しになりません。依存症を前提とした努力が求められます。
今回の件は久保がアスペであることが発端となって発生するかもしれないトラブルに対し、RIZIN側も久保陣営も何らかの対策をした痕跡が見えません。まして相手はシバターですからね。他人事で済ましている場合ではありません。そこは今後改善して頂きたいです。
シバターがノーダメージは嘘
ひろゆき氏「シバターにダメージない」RIZIN八百長疑惑「モラルない人ってレベル」 https://t.co/X061KPa1xe
私もそう思います。— ひよしともてる@スマイリーハローとくまモンは親友 (@RSt9ElPWtA4cj8c) January 5, 2022
シバターさんはyoutubeでの再生数を、格闘技関連の企画に依存していましたので、大晦日での売名や、格闘家とのコラボが激減したりを考えるとシバターは困ります。
あとはyoutube広告を表示する上でも問題がありました。健全性が低下し通報が増えると、広告を剥がされる可能性がグンと上がります。あとは裁判のリスクも0ではありませんでした。
もっとも今回のRIZIN側の公式アナウンスの通り、お咎めなし、再戦もありそうな着地となりましたので、結果的にはほぼノーダメージということになりました。結論が出る前から、シバターはノーダメージ、といっていた意見が間違いと言う話です。
笹原さんも処分なし
笹原さんが関与していたか否かが、裏の争点でした。
割とここが曖昧になっていましたが、RIZIN陣営は久保陣営から本気でやると伝えられていたようなので、笹原さんにも八百長絡みの落ち度はないということになりました。
(ややこしいのですが、久保陣営は100%本気でやるつもりだった一方で、久保本人はピュアなためシバターの術中にかかっている。しかしそれがヤオというわけではなく、久保本人は戦力をそがれた状態での真剣勝負。と榊原さんの発言を私はそのように解釈しています)
久保陣営が宮田和幸率いるBRAVEを指すのか、久保サラ達を指すのか、久保のマネージャーを指すのか確定はしていません。RIZINはできる限り波風を立てない捌きを下しているように見えます。
第二の朝倉未来を作れの「BreakingDown」も録音音声で名前が出ていましたが、ある程度RIZINと足並みをそろえ、久保に致命傷を負わすようなアクションは起こさないのではないでしょうか。
ということでRIZINの大晦日騒動でした。真剣勝負の場ではありますが、イロモノ要素を多く含み、競技としての純度が高いUFCとは違う方向性のイベントになりますので、肩の力を抜いて楽しみたいところです。