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高野隆弁護士のブログ告発は言い訳?ゴーン逃亡の責任転換と正義感

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カルロスゴーンが日本から不正に出国しレバノンに逃亡した事件で、彼の弁護団の一人であった高野隆弁護士がブログで、日本の司法制度に対する問題提起を行い物議を醸しています。

高野隆弁護士の告発は正義感と責任転換どちらが原動力になっているのでしょうか。

ゴーン氏の弁護団は高野隆以外にも弘中惇一郎、河津博史などが名前を連ねています。ちなみに今回ブログで告発した高野隆氏は、地下鉄サリン事件の犯人となったオウム真理教教徒の弁護も務めており、日本の法曹界でもかなり権威をもった人物のようです。

以下ブログ内容から一部抜粋引用(全文は⇒http://blog.livedoor.jp/plltakano/

彼(カルロスゴーン)が日本の司法制度についてこうした批判を口にしたのは今回が初めてではない。東京拘置所に拘禁されているときから、彼は日本のシステムについて様々な疑問を懐き続けた。彼は日本の司法修習生よりも遥かに法律家的なセンスのある質問をいつもしてきた。

「そんなことで公正な裁判(a fair trial)は期待できるんだろうか?」

彼はなんどもこの同じ質問をした。そのつど私は日本の実務について、自分の経験に基づいて説明した。憲法や法律の条文と現実との乖離についても話した。

「・・・残念ながら、この国では刑事被告人にとって公正な裁判など期待することはできない。裁判官は独立した司法官ではない。官僚組織の一部だ。日本のメディアは検察庁の広報機関に過ぎない。しかし、多くの日本人はそのことに気がついていない。あなたもそうだ。20年間日本の巨大企業の経営者として働いていながら、日本の司法の実態について何も知らなかったでしょ。」

とりわけ、妻キャロルさんとの接触禁止という、国際人権規約に違反することが明白な保釈条件が、どんなに手を尽くしても解除されないことに、彼は絶望を感じていた。

クリスマス・イブの昼下がり、島田一裁判官が1ヶ月ぶりに認めた妻との1時間のビデオ面会に私は立ち会った。二人はお互いの子どもたち、親兄弟姉妹その他の親族や友人、知人ひとりひとりの近況や思い出話を続けた。話題が尽きない。そろそろ制限時間の1時間が経とうとするとき、彼はノート・パソコンの画面に向かって言った。

「君との関係は、子供や友人では置き換えることはできない。君はかけがえのない存在だ。愛してるよ、Habibi。」

私は、日本の司法制度への絶望をこのときほど強く感じたことはない。ほとんど殺意に近いものを感じた。

「カルロス、とても申し訳ない。本当に日本の制度は恥ずかしい。一刻も早くこの状況を改善するために私は全力を尽くすよ。」

返事はなかった。彼は私の存在などないかのように、次の予定を秘書と確認していた。

その1週間後、大晦日の朝、私はニュースで彼がレバノンに向けて密出国したことを知った。まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。しかし、彼がこの国の司法によって扱われてきたことを思い返すと、怒りの感情は別の方向へ向かった。

確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。*これは私の個人的な意見であり、弁護団の意見ではありません。

ゴーン氏はとくに嫁さんと会えなかったことが辛かったようですね。検察の名分としては逃亡や証拠隠滅の防止ですが、強引すぎた感はあります。

高野隆弁護士としては、ゴーンが逃げたことに激しい怒りを感じたものの、すぐに怒りは別の方向、恐らくは日本の非人道的(と彼が解釈している)な司法制度に向けられたとのことです。

 

高野隆の言い訳と正義感

ごもっともなことを言っていますので納得させられる部分も多いですが、説得力に欠ける点が2つあります。

まずは虫が良すぎるそのタイミングです。

日本の司法制度は確かに時代錯誤かもしれませんが、弁護していた被告に逃げられ世論のバッシングの対象になろうかというタイミングでこの告発は、いくら正論であっても、言い訳に感じる人がいるのは当然です。例えばこれまでも有名な袴田事件の裁判など、いくらでも日本の司法制度について問題提起するタイミングはあったはずです。

あとは日本の司法制度で飯食ってるプロがこれを言うのも変です。被告の逃亡を責めないレベルで日本の司法制度に疑問を持っているのならば、弁護士でなく政治家にでもなって正規の手段で改革して欲しかったです。

 

司法制度は変わるべきなのか

推定無罪という前提があるにもかかわらず、例えば痴漢の冤罪で逮捕されてしまった際に「20日以上勾留される。否認したらクビになるかも。認めたら即釈放。」という、有罪ありきで取り調べが進行したり、人権がないがしろにされている実情があります。

あとは多くの刑事裁判は、検察の意向で有罪ありきで進行してしまう問題点も指摘されています。日本の起訴からの有罪率は99%以上と言われています。(例えばイギリスは80%)

但し日本はフランスと並んで起訴便宜主義でありますので、条件を満たした場合必ず起訴しなくてはいけない起訴法定主義のドイツなどと事情が違うことは留めておく必要があります。

司法の独立性ランキングでは日本が世界5位というデータもあるようですが、推定無罪の在り方については外圧によって是正が促されるかもしれません。

 

上念司は高野隆を批判

保守派の雄上念司さんは批判を展開しています。

ホリエモンは検察批判

ホリエモンの政治思想は良く分かりませんが、安倍首相にかなり好意的なので保守派なのかもしれません。

私は割とホリエモン好きなんですが、この方に一貫しているのは「利己主義」「検察憎し」なので私情が入っている感もあります。

 

ネットの反応まとめ

まずは高野隆肯定派の意見から。

反対派の意見

ちょうど半々ぐらいですかね。

カルロスゴーン出国の功績

カルロスゴーンのやったことは1ミリも肯定していませんが、プライベートジェットでの出国の際の不備や、日本の司法制度の是正など、思わぬ副産物を生んでいます。

フランスでは勾留期間24時間が原則だそうです。ただし諸外国にはGPSで犯罪者や保釈された被告を監視しているところもあるので、バランスを考えて改革をお願いしたいところです。










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